劇物その4
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メタノール
メタノール(CH3OH)
別名:木精/メチルアルコール
 無色透明、エチルアルコールのような臭いと、焼くような味を持つ揮発性の液体。火をつけると容易に燃える。
 飲むと酔うが、メタノールが体の中で酸化され蟻酸となるため有毒で、視神経への障害を被る。通常8〜20gで失明し、30〜50gで死ぬ。
 染料、その他の有機合成原料、樹脂、塗料等の溶剤、燃料、標本保存剤などに用いる。
 メタノールは、ホルムアルデヒドおよび蟻酸の原料でもある。
メチルエチルケトン
メチルエチルケトン(C4H8O)
別名:MEK/エチルメチルケトン
 無色の液体、アセトン様の芳香あり。引火性が強い。高濃度で麻酔性あり。溶剤、有機合成原料。
キノリン
キノリン(C9H7N)
 不快臭のある吸湿性のある液体。
 熱水・アルコール・エーテル・二硫化炭素に可溶。
界面活性剤。
 燃やして処分する(燃焼法)。
2−アミノエタノールおよびこれを含有する製剤
但し、20%以下は除く
2−アミノエタノール(C2H7NO)
別名:モノエタノールアミン
 アンモニア臭のある、やや粘ちょう性のある液体。アルカリ性。水に易溶。常温で二酸化炭素や二硫化炭素を吸収するが加熱により再び放出する。
 合成洗剤、乳化剤、化粧品、界面活性剤などに用いる。
ホルムアルデヒドおよびこれを含有する製剤
但し1%以下は除く
ホルムアルデヒド(CH2O)
 鋭い刺激臭を有する可燃性の気体。粘膜に対し非常に刺激的で発がん性がある。
ホルマリン
※ホルムアルデヒドの水溶液
 無色あるいはほとんど無色透明の液体で、刺激性の臭気を持ち、寒冷にあうと混濁することがある⇒ホルムアルデヒドの結晶。
 農薬(種子の消毒、温室の薫蒸)、 工業用(人造樹脂、フィルムの硬化、色素合成)等に使用。
アクリルニトリル
アクリルニトリル(C3H3N)
別名:シアン化ビニル/プロペンニトリル
 無臭又は微刺激臭のある無色透明の蒸発しやすい液体。引火は零下1℃で、火災、爆発の危険性が高い。
 化学合成上の主原料で、合成繊維、合成ゴム、合成樹脂、塗料、農薬、医薬、染料などの製造の重要な原料である。
 火気から遠ざける。硫酸、硝酸などの強酸と激しく反応するので、距離を置く。
 アクリルニトリルを貯蔵してある場所は、防火性で適当な換気装置を備え特に換気を要する。
 アクリルニトリルはできるだけ直接空気に触れることを避け、窒素のような不活性ガスの雰囲気の中に貯蔵するのが好ましい。
有機シアン化合物
ベンゾニトリル(C7H5N)
 アーモンド様臭気を有する無色の液体。
 プラスチック原料、溶剤。
アセトニトリル(C2H3N)
別名:シアン化メチル
 エーテル様の臭気を持つ無色の液体。
 有機合成原料、溶剤等に使用。
シアン酸ナトリウム(NaOCN)
別名:シアン酸ソーダ
 白色の結晶性粉末。
 除草剤、有機合成、鋼の熱処理。
アクリルアミド及びこれを含有する製剤
アクリルアミド(C3H5NO)
 無色のフレーク状結晶。化学的に不安定で、冷暗所に保存する必要がある。融点付近あるいは紫外線下で重合する。
 毒性が強く、皮膚からも吸収され、中枢神経麻痺症状を引き起こす。
 土木工事用の土質安定剤、接着剤、凝集沈殿促進剤などに用いられる。
アクロレイン
アクロレイン(C3H4O)
別名:プロペナール/アクリルアルデヒド
 無色又は帯黄色の液体で刺激臭があり、引火性がある。皮膚や粘膜を刺激し、催涙性を有する。水に可溶、エタノールに易溶。空気中で容易に酸化する。光に当てたり、酸やアルカリの存在で容易に重合する。
 火気厳禁、非常に反応性に富む物質なので安定剤としてポリフェノール類を加えて、空気を遮断して貯蔵する。
 火災の場合には炭酸ガスを使用。合成原料、殺菌剤、探知機。
四塩化炭素およびこれを含有する製剤
四塩化炭素(CCl4
別名:テトラクロロメタン
 揮発性、麻酔性の芳香を有する重い液体。不燃性であるが、さらに揮発して重い蒸気となり、火炎を包んで強い消化力を示す。
 油脂類をよく溶解する性質があり、かつ不燃性なので、溶剤として種々の工業に使用されるが、毒性が強く吸入すると中毒をおこす。毒性は、肝臓、腎臓などの内臓や視覚に障害を引き起こすことが知られており、また発がん性が疑われている。
 洗剤、および種々の洗浄剤の製造、引火性の少ないベンジンの製造に使用。
 亜鉛又はスズメッキをした鋼鉄製の容器で、高温に接しないように保管する。 低温に滞留しやすいので、地下室などの換気の悪い所には保管しない。
 四塩化炭素に、アルコール性の水酸化カリウムを入れ、銅粉とともに煮沸すると、黄赤色の沈殿物ができる。
クロルエチル
クロルエチル(C2H5Cl)
別名:塩化エチル/エチルクロリド/クロルエタン
 常温常圧ではエーテル臭を有する気体、加圧または冷却すると容易に無色の液体となる。水に微溶、エタノール、エーテルに可溶。可燃性で点火すれば緑色の辺縁を有する炎をあげて燃焼する。
 四アルキル鉛の原料の他、アルキル化剤、寒冷剤、麻酔剤等の用途がある。塩素化炭化水素の中では最も毒性が低い。
エチレンクロルヒドリン
エチレンクロルヒドリン(C2H5ClO)
別名:2-クロロエタノール
 エーテル臭を持つ無色の液体、水、有機溶媒によく溶ける。
 皮膚や粘膜を侵す。
 溶媒、殺虫剤の製造、ジャガイモの発芽促進剤に用いられる。
クロルメチル
クロルメチル(CH3Cl)
別名:塩化メチル
 無色の気体で、エーテル様の臭いと甘みを有する。空気中で爆発するおそれもあるから、濃厚液の取扱には注意する。煙霧剤、冷凍剤。
クロロホルム
クロロホルム(CHCl3
別名:トリクロロメタン
 無色、揮発性の液体。特異の香気と微かな甘みを有する。
 純粋のクロロホルムは、空気にふれ、同時に、日光の作用を受けると分解して塩素、ホスゲン、四塩化炭素を生じるが、少量のアルコールを含有させると、分解を防ぐことができる。
 強力な麻酔性を有し、慢性的には内臓に障害を及ぼすことも知られ、その発がん性も疑われている。
 少量のアルコールを加えて分解を防止させて、冷所に貯える。溶剤として広く用いられている。
クロルスルホン酸
クロルスルホン酸(HSO3Cl)
別名:クロル硫酸
 空気中で激しく発煙する無色又は淡黄色の液体。刺激臭を有する。
 毒性は、皮膚や粘膜を侵す腐食毒。
 スルホン化剤として用いる。
クロルピクリン
クロルピクリン(CCl3NO2
別名:トリクロロニトロメタン
 純品は無色の油状体であるが、市販品は普通微黄色。強い粘膜刺激臭があり、催涙性を有する。金属腐食性が強い。
 用途は、殺菌剤、殺虫剤等。
ジメチル硫酸
ジメチル硫酸((CH3O)2SO2
別名:硫酸ジメチル
 無色無臭、油状の液体。
 強力なメチル化剤。
二硫化炭素およびこれを含有する製剤
二硫化炭素(CS2
 本来は無色透明の麻酔性芳香を持つ液体であるが、普通市場にあるものは、不快な臭気を持っている。有毒で、長く吸引すると、麻酔をおこす。
 防腐剤、マッチの製造、セルロイド工業等。
 揮発性が強く、容器内で圧力を生じ、微孔を通って、放出するので、密閉が難しい。低温でも極めて引火性がある。
 少量の場合、共栓ガラス瓶、多量の場合、鋼製ドラム缶に入れ、貯蔵する。
スルホナール
スルホナール(C7H16O4S2
別名:スルホンメタン
 無色の結晶性粉末。臭気なし。殺鼠剤。
酢酸エチル
酢酸エチル(C4H8O2
 強い果実様の臭気があり、可燃性、無色透明の液体。引火性の強い液体で、冷所に密封して保存する。
 香料、溶剤、有機合成原料等に使用。
シクロヘキシミド
シクロヘキシミド(C15H23NO4
 白色板状晶。グルタルイミド系抗生物質。酵母、原虫、植物病原菌のタンパク質合成を阻害する。毒性も強い。
 殺鼠剤等に使用。
ブラストサイジンS
ブラストサイジンS(C17H26N8O5
別名:ブラスチシジンS
 ヌクレオシド系抗生物質。水溶性で塩基性の白色針状晶。
 稲のいもち病菌に有効で、農薬として使用されている。
サリノマイシン
サリノマイシン(C42H70O11
 白色無定形粉末の抗生物質。弱酸性物質で、有機溶媒に可溶、水に不溶。
 家畜飼料添加剤に用いられている。
モネンシン
モネンシン(C36H62O11
 抗生物質。有機溶媒に易溶、水に微溶。
 抗菌、抗原虫作用があり、家畜の飼料添加剤に用いられる。
ラサロシド
ラサロシド(C34H54O8
 有機溶媒に可溶、水に不溶。イオノホア抗生物質に属す。
 抗菌、抗原虫作用を示し、にわとりのコクシジウム症の防除などに用いられる。
ロテノン
ロテノン(C23H22O6
 熱帯産有毒植物の根から得られる植物性殺虫剤。無色無臭の六角板状晶。