電気めっきの表示方法についての解説
上記[例1]のようにJIS記号でめっき処理が表示されている場合、これがなにを意味するものなのか、すぐに理解できる人は、相当なめっき通です。
すると、このようになります。 このままでは、ただ記号をバラバラにしただけなので、『JIS記号早見表』の番号をこの表に入れ込みます。 ちなみに、この番号はJIS記号の表示順序をわかりやすくするために、勝手に付けた番号なので、何ら公的なものではないということをご注意ください。
さて、それでは順々に見て行きましょう。
まず最初に、①Epとあります。これは、めっきを表す記号です。めっきを表す記号といっても、めっきの種類を表す記号のことではありません。ここには『電気めっき』か『化学(無電解)めっき』かを表す記号を表記します。 ①めっきを表す記号と②の間には、ハイフン(-)を入れて、区切ります。 ②Feとあります。これは、素地を表す記号です。Feといえば、鉄の元素記号です。このように、素地を表す記号は、素地の元素記号となります(例外として、セラミックCMやプラスチックのPLなどがあります)。つまり、このめっきは、鉄を素地としたものであるということがわかります。 ②素地を表す記号と③の間には、斜線( / )を入れて、区切ります。 ③めっきの種類を表す記号を入れます。Cuとありますので、『銅めっき』だということがわかります。 ③めっきの種類を表す記号と、④の間には、記号を入れて区切る必要はありません。 ④20という数字は、めっきの厚さを表す記号です。単位はμmですので、これで、皮膜の厚さが20μmだと言うことがわかります。
次に注意しなくてはいけない表記方法がでてきます。コンマ( ,)があって、③Niというめっきの種類を表す記号があります。そして、④25というめっきの厚さを表す記号と⑤bというめっきのタイプを表す記号があり、さらにコンマで区切られています。 つまり、これは『銅めっき』の上に『ニッケルめっき』を施したものであるということです。また、⑤めっきのタイプを表す記号が、( b )となっているので、普通のニッケルめっきではなく、『光沢ニッケルめっき』だということになります。ちなみに、めっきのタイプを表す記号も、コンマや斜線で区切る必要はありません。 さて、次もコンマがあって、③Cr、④0.1、⑤rという順序で記号が並んでいますが、ここまで見てくればわかるように、これは、ニッケルめっきの上に『普通クロムめっきを0.1μm以上』を施したものだ、ということになります。⑤( r )は、『普通のクロムめっき』を意味します。 その次には、斜線が引かれていて、すぐにコロン(:)があります。この間には、⑥後処理を表す記号を入れるのですが、なにも記入されていないので、後処理はされていないということがわかります。 コロン(:)の次に⑦Aという記号がでてきます。これは、使用環境を表します。Aという記号は、腐食性の強い屋外環境を意味します。 と、いうわけで、このJIS記号の配列は、(電気めっき、鉄鋼素地、銅めっき20μm以上、光沢ニッケルめっき25μm以上、普通クロムめっき0.1μ以上、腐食性の強い屋外で使用)という意味だということがわかります。 以上で簡単な解説を終わります。
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