環境基本法
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第一章

第1条(目的)

 この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の義務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

第2条(定義)

  1. この法律において「環境への負荷」とは、人間の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
  2. この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
  3. この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することも含む。第16条1項を除き、以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じることをいう。

第3条(環境の恵沢の享受と継承等)

 環境の保全は、健康を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。

第4条(環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等)

 環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動全てのものの公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済発展を図りながら持続的に発展することのできる社会が構築されることを旨として、行われなければならない。

第5条(国際的強調による地球環境保全の積極的推進)

 地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国のしめる地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。

第6条(国の責務)

 国は、前3条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第7条(地方公共団体の責務)

 地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施設及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第8条(事業者の責務)

  1. 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うにあたっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
  2. 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることになるように必要な措置を講ずる責務を有する。
  3. 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資する用に努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
  4. 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他の環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する保全に関する施策に協力する責務を有する。

第9条(国民の責務)

  1. 国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
  2. 前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

第10条(環境の日)

  1. 事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。
  2. 環境の日は6月5日とする。
  3. 国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。

第11条(法制上の措置等)

 政府は、環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

第12条(年次報告等)

  1. 政府は、毎年、国会に、環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
  2. 政府は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

第13条(放射性物質による大気の汚染等の防止)

 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律で定めるところによる。

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の策定等に係る指針

第14条

 この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

  1. 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
  2. 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
  3. 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

第2節 環境基本計画

第15条

  1. 政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
  2. 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
    一 環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
    二 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
  3. 内閣総理大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
  4. 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境基本計画を公表しなければならない。
  5. 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3節 環境基準

第16条

  1. 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
  2. 前項の基準が、2以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定するべきものとして定められる場合には、政府は、政令で定めるところにより、その地域または水域の指定の権限を都道府県知事に委任することができる。
    「政令」=環境基準に係る水域及び地域の指定権限の委任に関する政令
  3. 第1項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改正がなされなければならない。
  4. 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に高ずることにより、第1項の基準が確保されるように努めなければならない。

第4節 特定地域における公害の防止

第17条(公害防止計画の作成)

  1. 内閣総理大臣は、次のいずれかに該当する地域について、関係都道府県知事に対し、その地域において実施されるべき公害の防止に関する施策に係る基本方針を示して、その施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)の策定を指示するものとする。
    一 現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域
    二 人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域
  2. 前項の基本方針は、環境基本計画を基本として策定するものとする。
  3. 関係都道府県知事は、第1項の規定による指示を受けたときは、同項の基本方針に基づき公害防止計画を作成し、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
  4. 内閣総理大臣は、第1項の規定による指示及び前項の承認をするに当たっては、あらかじめ、公害対策会議の議を経なければならない。
  5. 内閣総理大臣は、第1項の規定による指示をするに当たっては、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。

第18条(公害防止計画の達成の推進)

 国及び地方公共団体は、公害防止の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

第5節 国が講ずる環境の保全のための施策等

第19条(国の施策の策定に当たっての配慮)

 国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。

第20条(環境影響評価の推進)

 国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他のこれらに類する事業を行う業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

第21条(環境保全上の支障を防止するための規制)

  1. 国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。

    一 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置
    二 土地利用に関し公害を防止するために必要な規制の措置及び公害が著しく、又は著しくなるおそれがある地域における公害の原因となる施設の設置に関し公害を防止するために必要な規制の措置
    三 自然環境を保全することが特に必要な区域における土地の形状の変更、工作物の新設、木材の伐採その他の自然環境の適正な保護に支障を及ぼすおそれのあるこういに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
    四 採捕、損傷その他の行為であって、保護することが必要な野生生物、地形若しくは地質または温泉源その他の自然物の適正な保護に支障を及ぼすおそれのあるものに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
    五 公害及び自然環境の保全上の支障が共に生ずるか又は生ずるおそれがある場合にこれらを共に防止するために必要な規制の措置

  2. 前項に定めるものの他、国は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、前項第1号又は第2号に掲げる措置に準じて必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

第22条(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)

  1. 国は、環境への負荷を生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行うものが、負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負か活動を行う者にその者の経済的な状況を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
  2. 国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らの負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものである時は、その効果が適切に確保されるようにするために、国際的な連携に配慮するものとする。

第23条(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)

  1. 国は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
  2. 国は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
  3. 国は、公園、緑地その他の公共施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
  4. 国は、前2項に定める公共施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。

第24条(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)

  1. 国は、事業者に対し、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に際して、あらかじめ、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷について事業者が自ら評価することにより、その物に係る環境への負荷の低減について適正に配慮することができるように技術的支援等を行うため、必要な措置を講ずる物とする。
  2. 国は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

第25条(環境の保全に関する教育、学習等)

 国は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により事業者及び国民が環境の保全についての理解を深めるとともにこれらの者の環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

第26条(民間団体等の自発的な活動を促進する為の措置)

 国は、事業者、国民またはこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

第27条(情報の提供)

 国は、第25条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

第28条(調査の実施)

 国は、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

第29条 (監視等の体制の整備)

 国は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、観測、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。

第30条(科学技術の振興)

  1. 国は、環境の変化の機構の解明、環境への負荷の低減並びに環境が経済から受ける影響及び経済に与える恵沢を総合的に評価するための方法の開発に関する科学技術その他の環境の保全に関する科学技術の振興を図るものとする。
  2. 国は、環境の保全に関する科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要異な措置を講ずるものとする。

第31条(公害に係る紛争の処理及び被害の救済)

  1. 国は、公害に係る紛争に関するあっせん、調停その他の措置を効果的に実施し、その他の公害に係る紛争の円滑な処理を図るため、必要な措置を講じなければならない。
  2. 国は、公害に係る被害の救済のための措置の円滑な実施を図るため、必要な措置を講じなければならない。

第6節 地球環境保全等に関する国際的協力等

第32条(地球環境保全等に関する国際協力等)

  1. 国は、地球環境保全に関する国際的な連携を確保することその他の地球環境保全に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発途上にある海外の地域の環境の保全及び国際的に高い価値があると認められている環境の保全であって人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するもの(以下この条において「開発途上地域の環境の保全等」という。)に資するための支援を行うことその他の開発途上地域の環境の保全等に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
  2. 国は、地球環境保全並びに開発途上地域の環境の保全(以下「地球環境保全等」という。)に関する国際協力について専門的な知見を有する者の育成、本邦以外の地域の環境の状況その他の地球環境保全等に関する情報の収集、整理及び分析その他の地球環境保全等に関する国際協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。

第33条(監視、観測等に係る国際的な連携の確保)

 国は、地球環境保全等に関する環境の状況の監視、観測及び測定の効果的な推進を図るための国際的な連携を確保するように努めるとともに、地球環境保全等に関する調査及び試験研究の促進を図るための国際協力を推進するように努めるものとする。

第34条 (地方公共団体又は民間団体等による活動を促進するための措置)

  1. 国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で地方公共団体が果たす役割の重要性にかんがみ、地方公共団体による地球環境保全等に関する国際協力のための活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
  2. 国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で民間団体等によって本邦以外の地域において地球環境保全等に関する国際協力のための自発的な活動が行われることの重要性にかんがみ、その活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

第35条(国際協力の実施等に当たっての配慮)

  1. 国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。
  2. 国は、本邦以外の地域において行われる事業活動について適正に配慮することができるようにするため、その事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

第7節 地方公共団体の施策

第36条

 地方公共団体は、第5節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。

第8節費用負担及び財政措置等

第37条(原因者負担)

 国及び地方公共団体は、公害又は自然環境の保全上の支障(以下この条において「公害に係る支障」という。)を防止するために国若しくは地方公共団体又はこれに準ずる者(以下この条において「公的事業主体」という。)により実施されることが公害等に係る支障の迅速な防止の必要性、事業の規模その他の事情を勘案して必要かつ適切であると認められる事業が公的事業主体により実施される場合において、その事業の必要性を生じさせたものの活動により生ずる公害等に係る支障の程度及びその活動がその公害等に係る支障の原因となると認められる程度を勘案してその事業の必要性を生じさせたものにその事業の実施に要する費用を負担させることが適当であると認められるものについて、その事業の必要性を生じさせた者にその事業の必要性を生じさせた限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。

第38条 (受益者負担)

 国及び地方公共団体は、自然環境を保全することが特に必要な区域における自然環境の保全のための事業の実施により著しく利益を受けるものがある場合において、その者にその受益の限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。

第39条 (地方公共団体に対する財政措置等)

 国は、地方公共団体が環境の保全に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。

第40条 (国及び地方公共団体の協力)

 国及び地方公共団体は、環境の保全に関する施策を講ずるにつき、相協力するものとする。

第3章 環境審議会等

第41条(中央環境審議会)

  1. 環境庁に、中央環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
  2. 審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。

    一 環境基本計画に関し、第15条第3項に規定する事項を処理すること。
    二 内閣総理大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する基本的事項を調査審議すること。
    三 環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること。
    四 前3号に掲げるもののほか、ほかの政令の規定によりその権限に属させられた事務

  3. 審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣、環境庁長官又は関係大臣に意見を述べることができる。

第42条(中央環境審議会の組織等)

  1. 審議会は、委員80人以内で組織する。
  2. 特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、審議会に特別委員を置くことができる。
  3. 委員及び特別委員は、環境の保全に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
  4. 委員及び特別委員は、非常勤とする。
  5. 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

第43条(都道府県環境審議会)

  1.  都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、都道府県環境審議会を置く。
  2. 都道府県環境審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、その都道府県の条例で定める。

第44条(市町村環境審議会)

  1.  市町村は、その市町村の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、その市町村の条例で定めるところにより、その市町村の条例で定めるところにより、市町村環境審議会を置くことができる。 第2節公害対策会議 (設置及び所掌事務) 第45条  総理府に、特別の機関として、公害対策会議(以下「会議」という。)を置く。
  2. 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 公害防止計画に関し第17条第4項に規定する事項を処理すること。
二 前号に掲げるもののほか、公害の防止に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。
三 前2号に掲げるもののほか、ほかの法令の規定によりその権限に属させられた事務

第46条 (組織等)

  1. 会議は、会長及び委員をもって組織する。
  2. 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
  3. 委員は、関係行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する。
  4. 会議に、幹事を置く。
  5. 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
  6. 幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
  7. 会議の庶務は、環境庁において処理する。
  8. 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

附則

 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第43条及び第44条の規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。